見様見真似でサインを書いているけど、実は適当なデザインですという方はたくさんいらっしゃいます。
今回はプロがサイン作りにおいて実際に使っているサインの崩し方テクニック【初心者向け】を紹介します。
どのような雰囲気のサインに仕上げたいか、それによってテクニックは変わってきますが、ここで紹介する崩し方のコツはどのタイプにも使える入門編・基礎編と思ってください。
この記事の目次一覧
基礎に立ち返る重要性
入門編・基礎編と思ってあなどることなかれ。
サイン作りが煮詰まってしまった時にふと基礎に立ち返ると新しいデザインが浮かぶなど、これまで数多くお客様のサインを作成してきた私自身も日々気付かされることがあります。
土台の基礎がしっかりしていないと応用力も中途半端になってしまうのは何もサイン作りに限ったことではありませんよね。
まずは基礎をしっかり身につけましょう。
その後で用途に応じた具体的なテクニック(これも後述しますね)を見れば全体を体系的に習得することができるでしょう。
行き詰まった時にはこの入門編・基礎編に戻り、新しい視点と思考でもう一度考え直してみましょう。きっと新鮮なひらめきが訪れるはずです。
それではいってみましょう。
【1】全体をよく眺める
英語にしても漢字にしても、まずはサインを作りたい名前を活字体で書いて全体を眺めてイメージを膨らませましょう。
すると特徴的な文字があったり似たような形が連続していたり、となり同士の文字と線を共有できそうな部分が見つかってきたりしないでしょうか。
上の漢字サインは4つの字に共通する形を見抜き、それを1本の連続する波線でつないだデザインです。
文字を見るという行為は、多くの人ができているようで実は見えていないことが多いです。
もちろんあなたの経験やバックグラウンドで見え方は変わって当然なのですが、わからないと思って最初から見る行為をおざなりにするのは止めましょう。
サインはサインらしく見せると同時に画数を減らすことも同時に考える必要があります。
名前全体を眺めてサイン作りに使えそうな要素を見つけてみましょう。
【2】サイン枠をはみ出してもいい
サインらしく見える崩し方が存在するとはいったものの、そこに決まりやルールがあるわけではありません。
文字はこういう形であるべきという既成概念を取り払うことをまず意識します。
基本的なところでいうと『文字は枠内に収まらなければならない』と思い込んではいないでしょうか?
サインの場所を示す枠や補助線があらかじめプリントされていることがほとんどですが、サインはその線をはみ出しても問題ありません。(※ 例外あり。後述)。
上の画像は店頭でカードを使った後にサインするレシートをイメージしていますが、崩したサインは下線をはみ出ています。
生き生きと力強いサインに見えるだけでなく、サインを見た人のあなたに対する印象も大きく変わってくるでしょう。
サイン作りにおいて大胆な線で表現するのは重要なテクニックです。
それはデザイン性のインパクトもありますが、大胆な線から生まれる偶然の線の重なりやカーブがサイン作りの大きなヒントにつながることもあるのです。
習字やひらがな練習帳の類は、文字を正しく美しく書くための技法です。
しかしサイン作りにおいてはそれが弊害となってしまうこともあります。
枠をはみ出るほど大胆な線を使ってサインを作ってみましょう。
※ 例外あり ※
クレジットカードの裏面サインは枠の幅と高さが決まっているので枠内に収める必要があります。
【3】先頭から順番に書かなくていい
サインは必ずしも先頭の文字から順番に書く必要はありません。
デザイン全体の仕上がりを考えた時に最も書きやすい、崩しやすい所から書くのがおすすめです。
上のサインは先頭のKこそ最初に書いていますが、そこから一気に最後の i に横線を繋いで表現しています。
この横線が補助線の代わりとなり、全体のバランスを取る役割を果たすと考えたからです。
次に私の英語サインを見てみましょう。
これは Y. Moriya と書いたサインです。先頭のYから書き始めてはいるものの、Yの始点は右上です。ここから書いたほうがデザイン的に良く、かつ斜めの線で全体のサイズ感を最初から決めることができるのでバランスを取りやすい性質があります。
このように必ずしも先頭から書かなければいけないという固定概念を取り払えばサイン作りの幅が広がり、唯一無二のアイディアが浮かびやすくなるかもしれませんね。
※ 注意点 ※
文字は基本的に左から右に書くものなので、奇をてらってわざわざ最後の字から先頭に向けて(右から左に)書くと単純に書きづらいだけのサインになることがあります。
【4】書き順にこだわらなくていい
上のサインは『米田 勝』の漢字サインに書き順を振ったものです。
米の1画目こそ正規の書き順ですが、それ以外はバラバラなことがわかります。
これらは全て書きやすさとデザイン性を重視して作成したからなのですが、書き順を完全に無視していますね。柔軟なサイン作りにはこの発想が必要なのです。
【5】1文字だけ大きく書いてみる
はじめから全ての文字を崩そうとするのは難易度が高いので、1文字だけ大きく書いて残りを控えめに書くというおすすめのテクニックがあります。
主に英語サインを崩す時に使える方法ですね。
アルファベットごとに崩し方のサンプルをこちらのページで紹介していますので参考にしてみてください。
基本的には名前の先頭の文字を大きくするとサインらしい見た目になって書きやすいです(Y. Moriyaの場合、Yを崩す)。
または後半の名前の先頭の文字でもいいですね(Y. Moriyaの場合、Mを崩す)。
名前の途中の文字を大きく崩すのはサイン上級者向けのテクニックといえます。
まずは基礎を身につけることを意識しましょう。
このことからもわかるように、文字は全て同じサイズで書く必要はありません。
大小様々なバランスの文字が入り乱れてもいいですし、大文字を小さくしたり、小文字を大きくすることも可能です。
サイズ感にとらわれないようにしましょう。
【6】反復性の美を見つける
同じ文字や同じ形を繰り返すと人は美しさを感じます。
サインも同じで、文字に似たような形があるときは積極的に強調しましょう。
上の画像は先頭のMを崩して丸みを持たせ、名前後半のhも崩して丸くすることで反復性の美を表現しています。
パッと見た時に同じ丸が連続するので、見る人に安定感と美しさを与える効果があります。
他の例でも、例えば連続するT(T. Tanaka)、連続するK(K. Kondo)のように同じ単語が続く場合でも反復のテクニックを使ってみましょう。
【7】全体を囲んでみる
初心者の方でも簡単につかえるテクニックが全体を囲むことです。
上のサイン例は先頭のYで最初にぐるりと円を書き、その中に文字を収めています。
全体を囲むことでまず最初にサインのサイズを決めることができるので、バランスのいい仕上がりになりやすいです。
円をつくりやすい文字としてはC、D、G、H(小文字)、K、M、N、O、R、Yあたりが該当します。
名前の先頭にこれらの文字があれば積極的に円を取り入れてみましょう。
名前の途中であっても全体を囲むテクニックは有効です。
【8】母音は省略しやすい
a, i, u, e, o は省略しやすく、崩しやすい文字と認識しましょう。
上のサインは Hashimoto の英語サインで、母音は Hashimoto と4つ存在しています。
このうち省略している母音は最後から2つ目の o ですね。m と t の間に挟まれて完全に消えてしまっています。
ちなみに先頭の a はどこにあるかというと、Hの長い縦線が上から下に来てカーブして上に上がっていますが、その膨らみで a を表現したものです。
このサインをもう少しコンパクトにしたい場合は、私だったら m の山を少し削り、最後の o も省いてしまうでしょう。
母音を崩すとパッと見ても読めないサインに仕上がりがちですが、素早くコンパクトなデザインになります。
一方、母音をしっかり書くと判読性の高いサインですが、書くのに時間がかかる横長のデザインになります。
これらは基本的にトレードオフ(どちらか選ぶともう片方が失われる)の関係にあることを覚えておきましょう。
ちなみに、この Hashimoto のサインは s と m も崩したデザインです。
子音を崩す上級テクニックもありますが、まずは基礎となる母音崩しを頭に入れておきましょう。
【9】書くスピードを速くする
サインを書く時、形は二の次でいいので、ペンを素早く動かすことを意識してみましょう。
ペンを素早く動かすことにより、ブレのない力強い線が生まれます。
結果、多少形がくずれていたとしても、堂々としたバランスのいいデザインに仕上がることが多いです。
同じ形のサインを書いても、スピードが違うだけで見た目の印象が大きく変わってしまう例がこの動画です。
どれだけ元の形がいいサインでも、ゆっくり書く弱々しい線では残念な仕上がりになりがちです。
また、素早く線を書き続けることで偶然生まれる形が、意外と好みのデザインになることもあります。
特にサインに書き慣れない最初の段階はお手本通りきっちり書かなくてはいけないという気持ちでいっぱいではないでしょうか。
ぜひ書くスピードを上げてみましょう。
【10】お手本を参考に真似する
ご署名ネットではたくさんのサイン例を紹介しています。
その中に同じ名前があれば形を参考にしていただいたり、気に入った文字だけを残してあとはアレンジを加えるなど、他人のサインを参考にして自分のサインを作ってみてください。
多くのお手本を見ることは『【1】全体をよく眺める』にも共通するテクニックですね。
デザインは感性と思われがちですが、理論と理屈で成り立つ学問です。
参考になる要素を組み合わせて真似することでサインの崩し方の基礎を学び、応用につなげましょう。
また、この記事の最後にも書き方コンテンツ一覧を載せているので、そちらから興味のあるページを覗いてみてください。
【11】ひたすら練習を積み重ねる
サインが上手に書けない原因の1つに、サインに書き慣れていない、つまり単に練習不足なことが多くあります。
サインのデザインが完成しても一朝一夕で満足いく形が書けるとは思わないほうがいいです。
繰り返し練習を続けることで少しずつ身についていくものなのです。
上のグラフはご署名ネットで作成したお客様のサインに関するアンケートで、サイン完成後どれぐらいの練習期間で満足いくサインが書けるようになったかを表しています。
人によって差はありますが、1週間の練習期間という方が約3割、2週間が約2割、1ヶ月かかった方が約3割で、それ以上かかった方もいらっしゃいます。
サインはとにかく書いてなんぼのものです。
一回書けたからといってそこで練習を終えてはいけません。
お手本を見ずとも手が勝手に動くレベルまで繰り返し練習することをおすすめします。
それに、練習したサインをいざ使う場面(お店のカウンターや書類など)がくると身構えてしまい、最初はけっこう緊張するものです。
練習では書けたサインが本番でうまく書けない経験もすると思いますが、それもサインあるあるなのです。
【12】自然の変化・成り行きに任せる
実はせっかくサインが完成しても、練習するうちにだんだん形が変わっていくことに気付くでしょう。
サインは書きやすさやあなたの書き方のクセに合わせて変化します。
長かった線が短くなり、複雑な線がシンプルになり、大きな円が小さくなるなど、基本的にはよりシンプルな構造に変わることが多いです。
一旦出来上がったサインがあなたにとって70点の出来栄えだとしても、ひとまずそれを使ってみるのはどうでしょうか。
書くうちに形が変わってくるので、成り行きに任せて変化を楽しんでいるうちに理想形に仕上がるかもしれません。
崩し方の応用編
サインの崩し方の基礎基本を身につけたあとはいよいよ応用編です。
今のままでもサイン作りはもちろん可能ですが、用途に合わせた具体的なテクニックを織り交ぜることでさらに幅が広がるでしょう。
シチュエーションに合わせた作り方のコツを紹介していますのでぜひ御覧ください。
- かっこいいサインに見せるための作り方
- かわいいサインの作り方
- 漢字サインの作り方
- 筆記体のような英語サインの作り方
- 芸能人のような色紙向けサインの作り方
- クレジットカード向けサインの作り方
- 電子サインの作り方
- スケッチ、絵画向けサインの作り方
無理せずプロにお任せください
サインを上手に崩すためには経験と実践が必要です。
サインをイチから考えるのは時間と労力がかかりますので、ぜひプロにお任せいただいて効率よくサインを作りましょう。
圧倒的なクオリティでご満足いただけるサイン、お作りします。
サインの崩し方、どんどん紹介します
ご署名ネットではこれからもサインの崩し方や豆知識を紹介していきます。
自由自在に崩せるようマスターし、快適なサインライフを送りましょう。
ご署名ネット代表 兼 デザイナー
守屋 祐輔
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書き方コンテンツ一覧
テクニック・考え方・コラム編
- 【初心者向け】サインの崩し方の基本
- サインと署名の違い
- サインの使い道と用途を紹介します
- アルファベットを崩す時のコツ
- 縦書きサインの作り方のコツ
- 英語サインの名前の省略の仕方
- サインを解読する5つのテクニック
- サインを作る具体的なアイデアを紹介します
- ボールペンの太さは1.0〜1.2mmがおすすめ
- 英語契約書のサインのルール
- サインの歴史と日本の印鑑
用途別編
- かっこいいサイン | かわいいサイン | クレジットカード向けサイン | 漢字サイン | 筆記体のようなサイン | イニシャルサイン | シンプルなサイン | カリグラフィサイン | 芸能人・有名人みたいな色紙向け | プロ野球選手向け | 社長・経営者・専務・部長向け | 電子サイン | スケッチや絵画向けサイン | ウォーターマーク・コピーライト向けサイン
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