英語の契約書で使用するサインの書き方、考え方を紹介します。
この記事の目次一覧
英語契約書で使うサインの種類
英語契約書で使うサインは大きく分けて2つあります。
『1フルネーム、または省略ネームのサイン』
『2 イニシャルサイン』
まず、それぞれの一般的な特徴を簡単にまとめます。
日本語でも英語でも可能
契約書末尾のサイン欄で使用する
読めても読めなくてもどちらでも可能
基本はフルネームが望ましいが、省略ネームでも可
名前のイニシャルだけを書くサインのこと
日本語でも英語でも可能
読めても読めなくてもどちらでも可能
ページ改変防止のため、全ページに両サイナーが記入する(商習慣で異なる)
商習慣や企業独自の決まりがある場合もありますので、これらは一般的な考え方とお考えください
【1】フルネーム、または省略ネームのサイン
英語契約書末尾に記入するサイン。
どのようなルールがあり、どんなデザインで書くべきか悩む所です。ポイントを詳しくおさえましょう。
なお、サイン作りの基礎基本を知っておくだけで、英語契約書向けのデザインが作りやすくなります。
ぜひ一読されることをおすすめします。
▶サインの作り方:初心者から上級者まで、プロが教えるデザインとテクニック
英語でも日本語でも可能
ありがちな勘違いとして、英語契約書には英語でサインを書かなければいけないと思い込んでしまうこと。
例えサイン欄にサイナーの名前が英語でプリントされていても、サインは英語でも日本語でもどちらでも問題ありません。
サイン文化においてはサインの可読性は求められません。
サイナー本人が自筆すること、かつ繰り返し同じ形のサインが書けることを重要視されます。
そのため、英語で書こうと日本語で書こうと大きな違いはないのです。
読めなくても可能
サインは可読性を求められるものではないことは上で述べた通りです。
ぐしゃぐしゃと判読不能な落書きのように書かれたサインを見かけたことがあると思いますが、アレを想像するとわかりやすいですね。
サインに可読性が必要と思い込んでいる方は、署名とサインを混同して捉えてしまっている可能性があります。どちらも似た意味で使われる日本語ですが、そもそも用途が異なっているのです。
詳しくは『サインと署名の違い』のページでご署名ネットなりの考えを紹介しています。
フルネームでも省略ネームでも可能
サインする名前はフルネームでも省略ネームでもどちらでも可能です。
金融機関での申込書など一部ではフルネームを求められるシーンがある話を耳にしますが、それほど神経質になる必要はありません。
心配であれば、フルネームサインを選んでおけばまず間違いはありません(長くなる、書くのに時間がかかるなどデメリットはありますが)。
名→姓、姓→名はどちらでも可能
日本人の名前を英語表記すると、一昔前までは名→姓で表現していました(例:Taro Yamada)。
学校の授業でこう習った人が大半ではないでしょうか。
ところが実は2020年1月、日本政府は公文書などの日本人の名前は姓→名(例:Yamada Taro)の順にすることを正式に決定したのです(参考:文化庁国語科発表の資料)。
しかし、無理に既存の表記を変更する必要はありません。
混乱を来さないよう各人の判断に任されています。
つまり、英語サインをする時も従来の名→姓でも、姓→名でもどちらでも支障はありません。
代理サインの考え方
他人の代わりに別の人がサインを書くこと(代理サイン)があります。
for サイン(フォーサイン)と呼ばれたり、p.p. と表現するのですが、書き方を覚えておきましょう。
ここでは仮に、私(Yusuke Moriya)が上司(Taro Yamadaさん)の代わりにサインするケースを考えてみます。
for サインの場合:
Yours truly,
Yusuke Moriya’s Signature
For Taro Yamada
p.p. の場合:
Yours truly,
p.p. Yusuke Moriya’s Signature
Taro Yamada
for には ” on behalf of ” の意味があります。
p.p. はラテン語の ” per procurationem ” ( by/through the agency of )を意味します。
感覚として、for サインは契約書ほど重要な書類ではなく、日常的に交わされる依頼書や発注書などで使われることが多いでしょうか。
p.p. はより重要度の高い書類で使われるイメージですね。
業界によっては
Yours truly,
Yusuke Moriya’s Signature
p.p. Taro Yamada
と表記することもあるようです。商習慣に従うといいでしょう。
枠線にとらわれる必要はない
どうせサインを書くなら、サイン枠を大きくはみ出すほど大胆なサインを書いてみませんか。
生真面目な日本人の性格上、どうしてもサイン枠内におさまるサイズで書こうとしがち。
ところが本場の外国人のサインを見てください。
枠の大きさに関係なく大胆にはみ出していたり、到底アルファベットには見えない図形のような独特なデザインのサインを書いていませんか?(全員とはいいませんが)
ご署名ネットでは、サインをサインとしてのみ使うのではなく、自己表現の一種として捉えていただくことをおすすめしています。
ぜひ大げさに崩したサインを書いてみましょう。
ご署名ネットにご依頼いただければ、スタイリッシュで書きやすいサインをお作りいたします。
契約用サインと日常用サインを使い分けてもいい
サインは1人1つまでと決まっているわけではありません。
契約など重要な場面で使うフルネームサインと、日常生活で気軽に使うサインとをわけて使ってもいいのです。
日本で言うところの実印と認印のような感覚ですね。
【2】イニシャルサイン
イニシャルサインは、サイナーの名前のイニシャルのみで構成されるシンプルなサインのこと。
Taro Yamada であれば TY、またはYTなどですね。
イニシャルサインはページ改変防止の目的で全ページに記入したり、日本でいう訂正印のような使い方をします。
ただしこれも商習慣によってはイニシャルサインを必要としなかったり、ホッチキスで止めておけば省略するなど、考え方はまちまちです。
デザインにこだわりたい
イニシャルサインは非常にシンプルな字体で表現されるため、ぜひデザインにこだわって作成したいところ。
単純にアルファベットを並べて書くだけでは見た目がイマイチです。
ぜひアルファベットの形を活かしておしゃれに崩してみましょう。
ご署名ネットではイニシャルサインの作り方も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
イニシャルにこだわらなくてもいい場合も
わざわざイニシャルにせずとも、名字だけ、もしくは名前だけのサインを代わりに書くケースもあります(例:Taro Yamada なら YT とせず、Yamada, または Taro とする)。
書きなれたサインの一部を書くだけなので、抵抗感なく取り入れられるかもしれません。
これも商習慣や企業によって異なります
1秒〜2秒で書きたい
大量に書く必要性があることから、イニシャルサインはぜひ短時間で書き終えるようにしたいですね。
複雑な形だと単純に手が疲れますし、再現性が低下する恐れもあります。
デザインにこだわったサインを持つ意味
日本人で自分のきちんとしたサインを持つ人はまだまだ多くありません。
単に楷書でフルネームを書いたり、適当に作ったものを使い続けるパターンがよく聞かれます。
しかし契約書にそれらのサインを書くと、場合によってはマイナスのイメージを周囲に与えかねません。
デジタルが溢れる昨今、契約書のサインは貴重なアナログな表現が残る機会ともいえます。
手書き文字はその人の内面や人間性を映し出す鏡です。優秀なリーダーほどこだわりを持ったサインを持っています。
ぜひデザイン性の高いサインを持ちましょう。ご署名ネットではそのお手伝いをしています。
ご署名ネット代表 兼 デザイナー
守屋 祐輔
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