プロ野球選手が色紙に書くようなサインをご希望いただき、濵川彰吾様のサインをご署名ネットにて作成させていただきました。今回は色紙向けの漢字縦書き、クレジットカードなど実務で使う漢字横書き、そして英字の3種類を、それぞれ用途に合わせてデザインしています。
作成の過程
濵川様はスポーツ選手の近くで活動されており、身近で見てきたプロ野球選手のサインのような、色紙に映える一枚を求めていらっしゃいました。用途がはっきりしているご依頼ほど、最初の段階で複数の方向性を並べて見比べていただくと、完成までの流れがスムーズになります。この考え方にもとづき、まず漢字の縦書き・横書き・英字それぞれで4案ずつ、合計12案をご提案しました。

縦書きの漢字案は、この最初の提案の中から1案を軸に進めることになりました。ただ、実際に色紙へ書き続けることを考えると、画数の多さがネックになります。そこで線を思い切って減らし、続け字としての流れを保ったまま、よりシンプルな形に整える調整を行いました。

この調整案に対して、濵川様から、全体的に円や丸に近い形にしてほしいというご要望をいただきました。周りのプロ野球選手のサインの印象に近づけたいとのことで、色紙サイン特有の丸みと勢いを両立させるコツは、文字の一部をあえて大きく崩し、そこに視線を集めることだと考えています。今回は川の文字部分をアクセントとして使いながら、円を意識した3つの新しい形を作成しました。

さらに、2案の良いところを組み合わせてほしいというご提案をいただき、それぞれの形の良さを組み合わせてバランスを調整。この工程を経て、丸みと存在感を兼ね備えた最終の縦書きデザインが完成しました。
一方、横書きの漢字案とローマ字案は、初回提案の中から濵の氵(さんずい)をより読み取りやすくする調整と、英字案のバリエーション追加という1回の修正で、比較的早い段階で完成へと進みました。
意識したこと・試行錯誤したポイント
今回は3種類のサインをそれぞれ違う用途に合わせて作成したため、1つのデザイン方針に寄せず、用途ごとに異なる設計の考え方を意識しました。

色紙向けの漢字縦書きは、文字として読めることよりもひとつのマークとして見えるまとまりを優先しています。濵川彰吾の4文字を続け字でひとつながりに捉え、右上がりの軸を揺らさずに保つことで、崩し字でも軽やかさと勢いが生まれます。全体を包む楕円は途中で止めず一息で描くことで、色紙に書いたときに存在感のある一枚になるよう仕上げました。

クレジットカードなど実務で使う漢字横書きは、逆にしっかり読めることを最優先にしています。全体を貫く一本の線を軸に文字を配置し、縦画は傾けずまっすぐ下ろすことで、崩しすぎず読める形を保ちました。装飾性より判読性を大切にした、どっしりとした落ち着きのあるデザインです。

英字のShogo Hamakawaは、SとHの2文字を大きく主役に据え、その間の文字は小さくきゅっと詰めることでメリハリを作りました。全体を同じ角度で右に傾けることで、前進する勢いとスタイリッシュさを両立させています。
色紙用は大胆に崩し、実用のカード用ははっきり読める。同じお名前でも、使う場面によって最適な形はまったく違う、というのが今回あらためて実感したポイントです。
今回のサインを作りながら思ったこと
これまで2,800人以上のサインを作成してきた中で、野球選手のような色紙サインがほしいというご依頼は珍しくありません。ただ、実際に多くの方を担当してきて感じるのは、憧れているサインの雰囲気と、ご本人が使い続けられる形との間には、思っている以上に距離があるということです。
崩しを強くすればそれだけ雰囲気は出ますが、書く本人が再現しづらくなります。逆に丁寧に整えすぎると、色紙に映える勢いが失われてしまう。この兼ね合いは依頼者の希望を聞くだけでは見えてこず、実際にいくつかの案を書いて見比べ、フィードバックを重ねる中で少しずつ輪郭が見えてくるものだと考えています。
濵川様の場合、縦書きの漢字案だけで初回提案から複数回の修正を重ねましたが、これは色紙用のデザインとしては珍しいことではありません。一方で横書きの漢字と英字は1回の修正で完成に至りました。用途がはっきりしているデザインほど正解に近づきやすく、色紙のようにかっこよさの基準がご本人の感覚に依存するデザインほど対話を重ねる必要がある。これは、これまでの制作を通じて実感してきたことがそのまま表れた一件でした。
濵川様の声
初回のご提案をお送りした際には、「早速ありがとうございます!! とてもイイです!」と早速のご返信をいただきました。
縦書き漢字案を円や丸を意識した形に調整している最中には、「僕のまわりのプロ野球選手のサインにだいぶ近づく気がします!」という嬉しいコメントもいただき、目指す方向性を強く共有しながら制作を進めることができました。
そして最終デザインをご確認いただいた際には、「とてもいいです! これで完成でお願いします!」とお言葉をいただき、無事に納品となりました。
納品後には「ありがとうございます!これから覚えていきます! またわからないところは質問させてください!」というメッセージに加え、「紹介など使えそうなら使ってください!」という、この記事の掲載にもつながる嬉しいお言葉をいただいております。
サインを作ってみたい方へ
色紙に書く一枚、実務で使うカード用の一枚、SNSやグッズに使う一枚など、同じお名前でも用途によって理想のサインは変わります。野球選手のようなサインがほしい、実用性と個性を両立させたい、といった具体的なイメージがある方も、ぜひご署名ネットにご相談ください。
濵川彰吾様について

濵川彰吾様は、スポーツ選手のコンディショニングやボディケアに関わるお仕事をされている方です。日頃からアスリートと近い距離で活動されており、今回のサイン作成でも、まわりのプロ野球選手のサインという具体的なイメージを添えてご依頼をいただきました。