行政・官庁を中心に急速に進む脱ハンコの流れ。これまで頑なに変わろうとしなかった昔ながらの伝統が変化する歴史的瞬間ともいえるのではないでしょうか。コロナをきっかけにしてその合理性に疑問符が浮かんでいた日本のハンコ文化は大きな転換期を迎えています。
私のようなサインデザインの仕事をやっていると「これからはサインが主流ですね。忙しくなりそうですね」とお声がけいただく事が増えました。しかし私はその点一歩引いて見ているつもりで、脱ハンコが日本のサイン文化の促進に与える影響は限定的だと考えています。
よく混同されがちですが、脱ハンコとハンコ廃止は全く別の議論なので注意が必要です。脱ハンコは不要な押印を廃止する流れ、ハンコ廃止は印章そのものを無くしてしまう流れで、両者は全く別物なのです。
それを踏まえた上で考えると、脱ハンコは一連の業務フローの中で不要と思われる承認・確認の意思表示を廃止していくことなので、押印よりも手間がかかるサインがそれに取って代わることはまず考えられないでしょう。
では正式な契約書や身分証明において脱ハンコが進むかというのはまた別の話で、今回政府が取り進めようとしている主旨からは外れますし、私個人としてはその目的でのハンコ文化は大切に残しておくべきだと思います。ゼロか百か、ハンコかサインかではなく、便利なものは残し、文化も残し、ハンコとサインが共存・共栄の道を歩む多様性を認める柔軟な考え方が求められているのではないでしょうか。
脱ハンコ論争をきっかけにサインが多少なりとも注目を浴びているのは事実です。日本のハンコ文化を残しながら一方で世界基準に倣って契約や身分証明でもサインを採用する見直しの動きにつながる可能性は多いにありますし、私も期待しています。
事実、最近はサインで口座開設可能な金融機関があったり(私も新生銀行口座はサインで開設しました→詳細はこちら)、請求書の押印の代わりにサインを使う企業も増えています。
ご署名ネットでは来たるべき新しい日本の文化創生においてサインデザインのパイオニアとしてお客様に新しい価値の創造とライフスタイルを提供し、ニーズに応えていきたいと考えています。
ご署名ネット代表 兼 デザイナー
守屋 祐輔

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